株式上場の意義

株式上場とは、広く一般投資家から資金調達を行うことを目的として、上場前は契約等によって特定の投資家に保有されていた株式を、不特定多数の一般投資家が証券市場において自由に売買できるように会社の株式を取引所に上場させることです。

株式上場の目的は様々ですが、一般的には資金調達手段の多様化、知名度の向上、信用力の向上、採用活動の推進、内部管理体制の整備、などが挙げられます。

 

株式上場のステップ

【株式上場のプロセスステップ】

①内部管理体制整備フェーズ

IPOコンサルティング会社や主幹事証券会社によるコンサルティングを受け上場会社になるための体制を整えます。取引所の定める上場審査基準や投資家から投資対象とされるに値する経営管理体制になるように社内体制の整備、定着運用を行います。また、監査法人と連携して財務諸表が適切に作成できる体制を整備します。

直前期の一期間は完全運用期間と言われる準備期間であり、上場企業と同様の体制にて経営管理を行うことが望ましいです。したがって、主だった改善は直前々期中に終わらせるのが良いでしょう。

 
②証券審査フェーズ

①の内部管理体制整備の運用実績をもとに主幹事証券会社の上場審査を受けます。証券審査では取引所の定める上場審査基準及び投資家保護の観点から投資対象としてふさわしいかについて審査がなされます。

審査期間は証券会社によって異なりますが、5~6ヶ月程度としている証券会社が多いです。また、投資商品として主幹事証券会社の顧客に引受けた株式を販売することがふさわしいか否かの引受審査も併せて行っています。

 
③取引所審査フェーズ

②の証券審査が完了し、証券会社から取引所に推薦書が提出されたことをもって取引所の上場審査が開始されます。取引所審査では取引所の定める上場審査基準の充足状況を確認します。

審査期間はマザーズ及びJASDAQ市場への上場の場合は約2ヶ月、本則市場への上場の場合は約3ヶ月が標準とされています。上場審査基準への充足が確認された後に、上場承認を受け、その後ファイナンス期間を経て上場日を迎えることになります。

 
④ファイナンスフェーズ

③の取引所審査と並行し、上場時の目論見書記載価格(株式の募集を行う際の株価)の検討に入ります。

目論見書記載価格が決定した後、上場承認がおりると”ロードショー”という国内外の機関投資家に対し自社のプレゼンを行う期間に入ります。そのプレゼンは投資家からの評価を得る上でも極めて重要であるため、プレゼン準備としてエクイティストーリーの構築やプレゼン資料の作成を行います。詳細は「6.上場時のオファリングストラクチャー」をご参照ください。

 
⑤上場

機関投資家への訪問(ロードショー)、国内外の投資家からの注文の申込みが完了した後、上場日を迎えます。上場日は取引所にて鐘を鳴らすなどのプログラムの上場セレモニーが開催されます。いよいよ上場日から上場会社としての日々がスタートします。

 

株式上場に関わる関係者

  • IPOコンサルティング会社などの支援会社

株式上場のプロセスには多くの関係者の関与が不可欠です。上場会社になるにあたり求められる内部管理体制の整備のためにIPOコンサルティング会社と契約するケースも多くあります。IPOコンサルティング会社の関与タイミングは上場を検討したあたり(直前々期が多い)が最も多く、主幹事証券会社や監査法人を選定する前です。IPOコンサルティング会社とは上場準備会社の味方となり二人三脚で内部管理体制の整備、エクイティストーリーの構築など上場準備手続きを進めて行きます。

  • 主幹事証券会社

上場申請には、証券審査を行った主幹事証券会社より取引所に対して推薦書を提出してもらうことが必須であり、必ず1社以上の主幹事証券会社の関与が求められます。主幹事証券会社の役割としては、推薦証券として証券審査後取引所に推薦書を提出する役割、IPOコンサルティング、株式上場時のファイナンスにおける主幹事証券会社として株式販売戦略の立案及びエクイティストーリーの構築などがあります。主幹事証券会社の関与タイミングは、上場準備開始後速やかにです。遅くとも直前期首までには関与させることが望ましいです。

  • 監査法人

監査法人は、上場時には会計監査人として有価証券届出書に記載の財務諸表及びその他の財務数値について監査証明を出す及びコンフォートをするなどの役割を担います。そのため、有価証券届出書に記載する直前々期の財務諸表について監査意見がもらえるタイミングでの関与が必要です。上場準備として、上場に向けた決算体制、経理体制、内部統制面などの整備についてアドバイスをもらい、上場前に会計監査人に選定します。監査法人の関与タイミングは、直前々期の期首監査を十分な余裕を持って行える時期です。一般的には直前々期首までには問い合わせを行い、直前々期の期首監査のスケジュールを相談することが望ましいです。

  • 証券代行

上場前に株主名簿管理人として選任し、上場後の株主名簿の管理、株式事務及び株主総会の運営などを委託します。株主名簿管理人としては申請直前に開催される株主総会にて選任することが一般的ですが、選任前であっても上場前の株主総会の運営サポートや定款の作成サポートなどを受けるために関与いただくことも可能です。

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