時価より低い価格での株式譲渡は問題となりますか。

時価より低い価格での第三者割当増資は会社法上の「有利発行」に該当し株主総会の特別決議が必要となりますが、株式譲渡は会社法上制限されるものではなく、取締役会または株主総会での承認を得ることで(譲渡制限株式の場合)株式譲渡が可能です。

しかし、時価が低くなった(=会社の価値が減少した)、のではなく時価よりも低い価格で株式譲渡がなされる場合には、当事者間の税務リスクに配慮が必要です。
たとえば、1株100万円の株式を10万円で譲渡した場合、譲り受けた側は90万円相当の贈与を受けたとみなされ、当該金額に贈与税が課せられる可能性があります。

一方で、上場を目指している会社は株価が成長に応じて上昇するため、上場タイミングに近くなればなるほど個人の株式移動に多額の資金が必要となってきます。
しかし多くの会社が時価よりも低い価格で、当事者間の合意の上で株式譲渡を行っていますが、税務上のリスクはあくまで会社ではなく取引をする個人間に生じるものであり、税理士と相談の上適切に税金を収める等の対応が求められます。

上場審査においては、株式譲渡理由が妥当であれば(たとえば創業メンバーが退社し、株を持っていかれるリスクを排するため代表が買い取る等)株式移動は否定されるものではありません。