上場を目指すスタートアップはハードワークになりがちであり、労務管理体制の整備が遅れていることがあります。労務管理体制とは原則として労働基準法にしたがった管理を行うことであり、法令遵守の一環であり極めて重要な事項です。社会保険労務士と連携し、適切な労務管理体制を整備してください。

 

勤怠管理

裁量労働制の対象である従業員も含め、全ての従業員の勤怠管理が必要です。これは給与計算及び健康管理のためです。勤怠管理は、エクセルやタイムカード等自己申告で行う場合と、入退室ログなどを用いてシステマチックに行う方法の2つがあります。いずれの方法でも良いですが、従業員との間で労働時間の齟齬が生じないよう注意してください。

なお、36協定を所轄の労働基準監督署に提出していない場合には残業を行うことは禁じられておりますので注意してください。加えて、時間外労働は原則月45時間が目安となっております。雇用者と協議し特別条項を設けることで、年6回はこの上限を超えて、別に定める時間外労働が可能となります。一般的には過労死ラインの80時間未満とすることが理想です。どうしても長時間労働になりがちなスタートアップですが、労働基準法に違反することのないよう事業を行ってください。

 

残業代の支払い

上記の通り勤怠管理を徹底し、時間外労働が発生した場合には適切な残業代を支払う必要があります。残業代については以下の事項に留意してください。

  • ・年俸制は残業代を支払わなくて良いという制度ではない。
  • ・固定残業制(月給に一定の時間外労働分の賃金が予め含まれている等の制度)であっても、固定残業時間を超えて労働した場合には超過分の残業代を支払う義務があること。
  • ・残業代を支払っていれば36協定に違反しても良いということではない。
  • ・深夜割増、休日割増の残業代の計算を間違えないよう留意する。特に固定残業制の場合、休日の時間外労働分は固定残業代に含まれているのか、などに留意する。
  • ・勤務時間の切り捨て、切り上げは従業員に周知し、認識の相違から未払いが生じているということが無いよう留意する。
  • ・裁量労働制の場合、残業代はないが、みなし労働時間の設定が実際の労働状況に乖離していないか見直しを行う。
  • ・未払い労働債務は2年間有効なため、過去に未払い残業代が発生している場合には当該期間の債務全てを精算する必要がある。
  • ・管理監督者であっても、裁量労働制の対象者であっても、健康管理上の観点から勤務時間の把握は必要である。
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